読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

自分の頭蓋骨は打ち破れないんじゃないかって

世界の広がりが頭蓋骨の内部空間と同等なのではないかと思う時がある。

どうしたっても超えられない壁があって、無限に広がるようにも思えるこの空想の世界も、自分の頭蓋骨は打ち破れないんじゃないかって思う時がある。頭蓋骨に収まっているうちはその世界の不都合も許される。だが頭蓋骨の外に出そうとするとどうだろうか。どこからどうそれを引っ張り出せばいいのだろうか。

「ご主人様?」

「ああ、済まない。ちょっと考え事をしていてね。こども向けというのもなかなか難しいんだ。急かされて書くものでもないね。紅茶でも淹れてくれないかな」

「はい」とひとこと、彼女は嬉しそうに微笑むと、くるりと翻って部屋を出て行った。この仕事にまだ慣れないとはいえ、僕から役目をもらうのが嬉しいんだろう。

ペンを立て、立ち上がり伸びをひとつ。窓から見える景色、小高い丘から望む市街というものは、遠くの中央都市の戦火の報を聞くにはあまりに平穏すぎていた。

http://rashita.net/blog2/?p=308

広告を非表示にする