システムエンジニアと紙と”片付ける”という禁忌について

 

当方システムエンジニアという肩書きを持っているペーペーでありますが、その働き様については実に秘匿されるべきものとして秘匿し、多くのシステムエンジニアが自身の仕事について語らない(語ってはならない、ないしは語る気も起きない)というこの現代社会でどうしようもないほどの軋轢に悩むわけです。

 

働き方?キャリアプランニング?いやいや、もうちょっとこの仕事の構造と普遍的なスキルを身につけてから口にしようかと思いますが、それとは違うんです。そう、”紙の管理”なのです。なにが「そう」なのかわかりませんが、とにかく目下の悩みとして私の背に重くのしかかっているものであります。

”システムエンジニア”とひとくちに言ってもその幅はあまりに広く、「細かく分類出来ねえからおまえら全員システムエンジニアなッ!」という括りのひとつでしかないわけですが、そのシステムエンジニアという言葉に抱くイメージとは全く正反対の事態が起こっているわけです。なんかこう色々電子化されてるイメージで、よもや紙に埋もれるなんてねえ。

 

「システムエンジニアと紙」というふたつの言葉に何か強い繋がりを感じませんでしょうか。

現職システムエンジニアでこれについて特に感じないのであれば、実にペーパーレス化されている環境か、ないしは顧客含め紙そのものを必要としない環境なのか。強い繋がりを感じるのであれば、ペーパーレス化されていない、ないしは顧客含め紙そのものに強く依存している環境なのか。私は後者です。しかも後者の両方。

御法度なのでぼかしにぼかして書きますが、とにかく紙(用紙)を必要とする業種です。顧客の業務のほとんどすべては紙でのやり取りで、そのシステムに携わる我々も必然的に紙に埋もれることになります。私の場合、そのシステムの「紙(用紙)」の部分に直接的に関わるので、その有様というのは目を覆いたくなるほど酷いものです(簡単にペーパーレス化なんて言えないのは”事情”というのものなのですね)。

 

現時点で私が把握している(目測した)限りでは、管理不全に陥っている紙(用紙)のその総量は万単位になっていると思っています。「いやあそんな無いよ、9900枚ぐらいだよ」なんて平然と言われてしまいそうな気がしますが、「待てよおい」と。そうした紙(用紙)の山を背にして仕事をするわけですが、アクティブ状態な紙(用紙)というのはその中でも300種類程度になります。

この300種類の紙(用紙)は、平時の作業で必要になるまた貸与するなどで動くもの動かないものという状態の違いがありますし、またその背後には使用されないが誰も捨てろと言わないので放置されている完全に”死んでしまった紙(用紙)”というのが千単位で存在しているわけです(ここで捨てろよ、とつぶやく)。

何年もミルフィーユの用に紙の死骸を積み重ねていけばそりゃ、地(紙)層も出来上がるなと奥歯を噛むわけです。そして「誰かこの禁忌に立ち向かう荒くれ者の勇者はいなかったのか」と。片付けるということはそれほどまでに禁忌なことだったのかと。

 

ため息混じりに考えるのは、私が働き始めてからこの1年半で何を考えたというところを整理することで「紙に埋もれるシステムエンジニア」という自分の理想と現実のギャップを整理しようというものです。

まず、それこそ自分が中学校に入学したころ(十年前)からすでに紙をせっせと紙を溜め込んでいたという歴史的事実を加味しても、必要なもの必要でないものという整理はバッサリと出来るはずです。ここはマトリックスで考えました。「顧客」と「我々」で、「必要」「不必要」と分けるわけです。

「顧客も我々も必要としているもの」は常にアクティブ状態になるのでしょうから、しっかりと管理をしておくべきでしょう。

「顧客が必要としているけど、我々は必要としないもの」というのはそうないでしょう。これは扱いに注意すべきものとして同じく管理をするべきです。

「顧客も我々も不必要なもの」はもう葬るべきでしょう(顧客に「これ……数年前の紙(用紙)を必要ですかね」などと今更聞くのは恥以外の何物でもないとは思いますが)。

「顧客は不必要としていて、我々が必要としているもの」のなかでも忌むべきは「顧客はまったくもう必要としていないのに、こちら側が”もしかしたら”必要になるかもしれないと”整理整頓もせずに”保管していた紙が数年後の今になって異臭を放つ」という事態なのです。

この「顧客は不必要としているけど、我々が必要としているもの」は、明確にすべきですね。”我々が必要としている”と思い込んでいるものが大半です。それこそ数年前の紙を今更になって必要になる可能性と、それを管理するために限られたスペースを割くことのコストを比較した時に、なにを優先すべきなのでしょうか。

とかくもはやシステム更改などで過去のもの、未来永劫稼働しないものの紙(用紙)、そして要不要の判断が出来る人がもはや存在しないものなどは英断すべきです。心配ならドキュメントスキャナでスキャンでもしておくべきです、あるんですから。はあ……。

 

不必要な紙を捨てるだけなら誰だってできますし、それをするだけでは臭いものに蓋をしただけで、今目の前に広がっている惨状をまた数年後に繰り返すというだけになってしまいます。肝心なのは整理した後の運用なのですね。アクティブ状態な紙(用紙)の使用と、アクティブではなくなった紙(用紙)の保管というふたつの運用を同時に走らせなければなりません。

しかもこれが数十人といる職場のなかで、誰も私が管理者としての権限を持つことにさしたる興味関心を持たない、なおかつ私がこの職場を去ったら次なる勇者が現れるのを待つしかなくなるという状態で運用されるのだとしたら、問題はとても根源的であります。実に問題を明後日に向かって投げたいところ。

「万単位の紙を処分し、数百の紙を運用し、そしてそれらの紙を適切に保管する」という仕事に携わるシステムエンジニアの方がいらっしゃったら御知恵をお貸しくださいと天に願うところであります。