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”思い入れ”と”固執”とポケモン

 

”思い入れ”というのは愛おしく、とても大切にしていきたい感情です。ただそれが万事において最優先されるべき感情かと言われると必ずしもそうではないということがあります。 大人になってみて様々な選択の機会に遭遇し、その度にこの”思い入れ”が判断に影響を及ぼすことがあると感じるのです。その”思い入れ”がただの固執になってはいないか。その思い入れの皮を被った固執が、何かをダメにしていないか。そう感じるのです。

その”思い入れ”について、とあるゲームの経験で考えています。

 

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©2012 Pokémon. ©1995-2012 Nintendo / Creatures Inc. / GAME FREAK inc.

 

かの有名な「 ポケットモンスター」 です。

10年以上続くポケットモンスターシリーズについてどれを題材にすればいいのかと考えた時、最新作を題材にしては最新であるがゆえに”ポケモン離れ”してしまったひとの理解の範疇を超えてしまいます。ということでいっそ、ポケットモンスター赤・緑をベースに話をしていきましょう。ニンテンドー3DS?いいえ、GAMEBOYです。そう1996年発売の初代です(ちなみに私の初めてのポケモンは”青”でした)。

ポケモンの主人公は物語開始時に3匹のポケモンから1匹を選ぶことになります。ポケモンを1匹も持っていない状態で町を出ようとすると、ガイド役でもあるオーキド博士に「おーい!」と止められてしまいます。ポケモンを持たずには冒険が始められないので、まずその1匹を従えて冒険が始まるわけです。

この最初に選択する3匹のポケモン。その名をフシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメですが、”初代御三家”と呼ばれます。ゲームが始まってゲームが終わるまで、一番長い付き合いになる唯一の1匹なのです。

 

さて、ここで問題になるのが”思い入れ”と”固執”の関係です。

私はこの初代御三家の1匹、ヒトカゲというポケモンが好きでした。ポケモンを戦わせて経験値を入手し成長すると、ある一定のレベルで進化をします。進化をすると容姿が変化し、能力も高くなります。で、そのヒトカゲというポケモンは生涯で2回進化します。その2回目の進化で”リザードン”という龍にも似たかっこいいポケモンになるのです。その容姿が好きでした。超かっこいい。ずっと使っていました。

 

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©2012 Pokémon. ©1995-2012 Nintendo / Creatures Inc. / GAME FREAK inc. 

 

ポケモンは閉じた世界にいるうちは、やればやるほど敵なしの状態になります。初代ポケモンのゲームバランスの問題もあるかと思いますが、プレイヤー側が一定のレベルを超えると対CPU戦では無敵です。無敵艦隊ともいえる状態になります。誰しもそうでしょう。ポケモンというひとつのカートリッジに収まった世界ではやることやれば無敗なのです。

ただ、ポケモンは他人と対戦することが出来ます。ゲームボーイ用の通信ケーブルを使ってポケモンの対戦・交換をしたことを思い出すでしょう。そう、人が育てたポケモンと戦うことが出来るのです。無敵艦隊たる私が、人の育てたポケモンと戦うとどうなるのでしょうか。

先のリザードンを従えた私はポケモンというひとつのカートリッジのなか、つまり対CPU戦では無敵でした。しかし、対人戦では見事に負けます。当時、小学生だった私は友達との対戦で苦渋を舐めまくっていたことを思い出します。あるひとりの友達に勝てなかったのです。ポケモンは手持ちとして最大6匹所有することができますので、6対6の戦いとなります。相手6匹のHPをすべてゼロにしたら勝ち。私はその6匹の1匹めに必ずリザードンを入れていました。しかしその友達は、私が見向きもしなかったような”地味な”ポケモンを6匹の中に入れて戦っていたのです。それこそカッコいいリザードンも、物語の中で”伝説のポケモン”と称させれる強いポケモン達もいませんでした。ただ、私はその友だちに負けたのです。

 

その友だちは小学生にしては珍しく、戦略・戦術を心得ていました。その友だちが用意していたのは、勝つための6匹だったのです。大好きな1匹とそれ以外の5匹が、勝つための6匹と戦ったらそれは負けます。目的が得るべき結果に基づいているのはその友だちの方なのですから。私は大好きなリザードンのことしか考えずにいたのですから(事実、そのリザードンだけ他の5匹のポケモンに比べてレベルがずば抜けて高かったのです。つまりリザードン”しか”育てていなかった)。しかもこのリザードン、強そうには見えるのですが実は扱いづらい。弱点と覚えるわざ、能力にクセのあるポケモンの一角を担うリザードン。対CPU戦のように「一番強い1匹でガンガン攻めればとりあえず勝てる」という突撃作戦を対人戦で使うことは出来ないのです。

 ポケモンというものに対する見方が変わったのもおそらくこのときだったのでしょう。つまり「ひとに勝つためには思い入れを捨てなければならないこともある」ということです。小学生の私がこのように考えた訳ではなく、いま分析してみるとこうだったといえます。ただこれは「思い入れなんていらない」ということでは決してありません。冒頭にも書いたように、思い入れが固執に変わってしまった時に、人の頭は本来あるべき目的を忘れひとつの考えに固着し始めるということです。リザードンを6匹の中に入れる基準が、”思い入れ”か”戦略・戦術”かで、勝敗が変わっていたのです。長く使い続けているものが必ずしも目的を達成するために正であるかというと、そうでもありません。

 

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©2012 Pokémon. ©1995-2012 Nintendo / Creatures Inc. / GAME FREAK inc. 

 

さてポケモンから話を戻して、いざ自身の仕事や生活の振る舞いを見てみましょう。固執に変わった思い入れは無いでしょうか。改めて考えてみると、なぜこの考え、行動をし続けているのか、思い入れだと思っていたものが固執に変わっていたということがあるかもしれません。思い入れを持つことがダメなのではありません、なぜ思い入れを持っているのかが大事なのです。もしその思い入れが、何かを達成する行動に関わっているとしたらその理由が本当に正であるかどうか、自身ではっきりさせておく必要があります。

でもまあ、今でもリザードン、好きですよ。

 

 

 

それでは、どこかの誰かさん。あなたに彩のあるカラフルな日々を。

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