”何を読むか”を支える”どう読むか” 読書環境を再考してみる

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買った本の多くは自分で裁断をして、スキャナで読み取りデータ化をしています。こうして本のデータ化を行う”本の自炊”をしているわけですが、どうしてこうも本を紙の本という形状のままにしておかないのかというと、自分にとって書を読むということが探求であって、その形は問わないということなのでしょう。自身のことながらこの感覚について深く考えたことはありませんでした。

本の自炊をしようかなあと考えた次の瞬間にはScanSnapもハイエンドモデルのS1500を選んで買っていましたし、買うと同時にペーパーカッターも買っていました。環境への投資に躊躇しないのはいつものことで、本の自炊する気も満々だったのです。ただ、その行為自体が自分の読書生活にどのような変化をもたらすかなんてことはそのときは大して考えていませんでした。

ただ蓋を開けてみると、自分の読書生活というものは大きく変わっていたのです。携帯からiPhoneに(私の場合は間にW-ZERO3という”とても美しい”スマートフォンが入ったので劇的な変化ではありませんでしたが)変わった時に感じたような変化を、この書を読むという行為にも感じています。

 

では、紙の本を読むということがいかに変わったのでしょうか。

大前提として今でも紙の本は紙の本として読んでいますし、よくありがちな「データ化すれば紙の本なんてもはや用なし」とか「紙の手触りインクの匂いがないとダメだ」といった論のどちらかに傾かせようなどという気は毛頭ありません。書を読むということの方法が増えたというだけに止めています。書を読むという行為にフォーカスすれば、それがどんな方法であろうとその行為そのものを差し置いていいほどの問題にはならないと考えています。

さて、現段階で紙の本を読む以外に本を読む方法はふたつです。ひとつはGalaxyNoteを使うこと。ふたつめはkobo touchを使うこと。

 

 

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GalaxyNoteを使う利点は様々あります。まずスマートフォンにあるまじきその大画面で自炊した本のPDFファイルをそのまま読むことができます。この”そのまま読むことができる”が重要なのです。字が小さいあまりにわざわざズームをしたり、また本の裁断をするときに余計な余白を切り落とすなどといった労力をかける必要がない。紙の本を読むときには感じ得なかったストレスを、わざわざ自炊をした本を読むときに感じるようでは本末転倒なのです。「なにかを我慢しながら、ストレスを感じながらも本を読む」ということは、ただの拷問でしょう。

つぎにGalaxyNoteはペン書きができるのです。本を読んでいる最中にマーカーを引いたり書き込みをしたくなったとき、紙の本であれば手近なペンをつかめばいい話ですが、スマートフォンではなかなかそれができません。しかし、GalaxyNoteのペン書きはそれが実現できます。そのページのスクリーンショットを取り、内蔵されたペンを取り出して書き込む。さらにその直後にそのスクリーンショットをEvernoteに送ることも可能なのです。紙の本に文字を書き込むという点では遜色ないでしょう。紙の本ではペンで書き込んだページの写真を撮るということで実現していたウェブサービスへの保存ですが、GalaxyNoteではスクリーンショットという形で保存することができます。これは後からEvernoteで見返した時に、圧倒的に読みやすいのです。

DropboxなどのストレージサービスにPDFを置いてしまえば無数に本をどこにでも持ち歩け、さらに書を読むということが拡張される機能がある。あとはGalaxyNoteのバッテリーの問題ですが、私の場合、GalaxyNoteはあくまでサブ端末であり必要でない時には通信はオフにしておいて構わないとしています。平日往復の通勤だけと考えるのであれば、なんら問題はありません。これが丸一日GalaxyNoteを酷使するという状況になったら、考えを改めざるを得ませんが。書を読むという行為だけでなく、その行為を拡張するということを1台で実現することが出来る点がとても優れています。

難点を言えば、快適にPDFを表示するためのアプリケーションが決め手にかけること、長時間読んでいると有機ELディスプレイの眩い輝きが目にくることです。 

 

 

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続いてはkobo touchです。鳴り物入りで登場した電子書籍リーダーですが、kobo touch自体の性能、運営する楽天の対応等々、このkobo touchだけで理想的な読書環境が整うというわけではないのが現実です。安いので手に入れやすいのですけどね。

そうすると、「買いたい本は買う」「読みたい本は紙の本として読むか自炊してGalaxyNoteで読む」という私の環境に、このkobo touchが入り込む余地はなくなってしまいます。

ただ、電子ペーパーを採用したこのkobo touchと親和性の高いものがあります。それは”布団の中”です。布団の中での読書といえば、言うまでもなく就寝前の読書を指しているのですが、ここではGalaxyNoteはあまり使いたくないのが心情です。というのもGalaxyNoteに搭載されている有機ELディスプレイの輝きがあまりにも強すぎて、安眠を妨げるのです。最低の輝度にしてもギラギラと光り輝き、これから寝ようとするときのちょっとした読書をするには疲れてしまいます。その点、kobo touchは目が疲れるということがなく、元が分厚い本でもkobo touchならどんな姿勢でも読むことが出来ます。

ただkobo touchの場合、Storeで買った本を読む分にはいいのですが、先にも書いたように自炊したPDFを”ストレスなく快適に読む”ためには一手間必要なのです。DropboxにPDFを置いておけばあとは大丈夫というGalaxyNoteとは違って、本を読むまでに手間があります。紙の本をぱたっと開くことと比べ物にならない手間なのです。ただ、リラックスした状態で電子書籍を読むということに特化させたいkobo touchですから、この点は用意をしてしまいさえすればいいと考えて目をつむっています。寝る前に読みたい本や、読んでおきたいなあと思っている本を読むようにして、kobo touchで所有するすべての本を読もうとは現状考えてはいません。

 

 

紙の本を読む以外に現状ふたつの方法をとっています。これらは紙の本を買う以上の投資をしており、端から見たらなかなかコストの掛かることだと思われるのではないかなと。しかし、GalaxyNoteでどこでも持ち歩いて本を読むということも、kobo touchで布団に寝っ転がりながら本を読むということも、もちろん紙の本を開いて読むということも、私の中では”書を読む”ということの次に位置する方法でしかありません。本が読みたいという欲求の前では、それがどういう状態で行われるか、どういう方法で行われるかといったことは、ある方法を選択するしないだけの二択の問題です。方法そのものについて是非に固執するということは書を読むという行為を衰退させてしまうと考えます。それ故、書を読むということには様々な方法が生まれるこの世界を私は楽しく思い、様々な方法で書を読んでみたいのです。

そんな風にして読書の多様化に身を委ねているわけですが、ただ願わくば、机の上に置かれた一冊の古ぼけた本をそっと開くということが自分の人生に数多あって欲しいです。そうして、自身の書斎で大切な本を読み耽る年老いた自分の背中を想像するのも良いものです。

 

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それでは、どこかの誰かさん。あなたに彩のあるカラフルな日々を。