読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

小説(ファンタジー)

創作ファンタジーで100を1にする実験

文章を書くことが100を1にする作業だとしたら 「〜剣と魔法の世界の創り方」(http://colorfullife.hatenablog.com/entry/2013/05/01/162300)と「創作に必要な参考資料と〜」(http://colorfullife.hatenablog.com/entry/2013/05/06/000101)という記事…

【SHF】そのねぼすけな才能を目覚めさせないと

いつも何考えているのかわからない人物が、突然渋い顔して”考え込む”と何だかんだで心配になったりするのが助手たるもの。ただ、助手という身分でありながら自身の身を守る(つまり気まぐれに振り回されないようにする)ことが第一優先事項になりつつあるの…

【SHF】本を読む場所が冷えるのは、いけませんね

『彼女は孤独であった。しかし、それを彼女は孤独とは全く考えてもいなかった。孤独は我々人族が生み出したひとつの魔物に過ぎず、その本質の蓋を開けてみると、誰しも孤独と成り得てしまうのだ。こうしてあなたが何一つ不自由なく活字を追うこの瞬間でさえ…

【SHF】雨々

photo credit: tanakawho via photopin cc 王都を覆うようにして現れた冬の雨雲は、都の外壁を越えて冷たく吹きすさぶ北風とともに憂鬱な空気をもたらしていた。午前中から降り出した雨は午後になっていよいよ本降りとなった。 誰もいない酒場のひび割れた窓…

【SHF】本を片付ける最中に本を開いてはいけない(後編)

「あんなに怒らなくてもいいのになあ」 研究所の中庭で、ルリはひとり腕を組む。 研究室の床に穴を開けてしまってからというもの、どういうことだどういうことだと方々から尋問に合い、その対応をしていて気がつけば陽が暮れつつあった。 よくよく考えてみれ…

【SHF】本を片付ける最中に本を開いてはいけない(前編)

麗らかな陽が差し込む窓辺にて、彼女はこくりこくりと夢見心地でいた。 黒曜石のように艶やかな黒色の髪を、結い紐で結んで肩から前に垂らす。 その髪は緩やかな丘陵にかかり、呼吸に合わせてゆっくりと上下している。 陽は天頂を過ぎた頃、ゆったりとした時…

【SHF】可能性は行動しない限りには衰退していく(7 最終話)

結局、その夜は一睡もすることができずに朝を迎えた。 事態が収束したのは明け方となってしまったのだ。 応戦した冒険者だけでなく町民の負傷者も少なからずおり、彼は医術の使える者の一員としてその対応に駆り出された。 町中を走り回っては、拠点となった…

【SHF】完璧など存在しない(6-3)

それは絶叫にも近い。 彼女の呼ぶ声で、彼はひとつの可能性にたどり着いた。 集会場で会話をしたとき、突然指先を自ら切った彼女の姿が頭をよぎる。 彼が治療をし満足そうにしていたことも。 彼女は知っていたのではないだろうか。 いや、その可能性に賭けた…

【SHF】完璧など存在しない(6-2)

苦々しい顔をした直後、彼女の身体の動きが鈍った。 全身が強張ったように見える。 この術は皮膚の硬度を一時的に高め、敵からの打撃に耐えられるようにするものであるが、一瞬だが筋肉を硬直させてしまう。 彼は気づいた。 それを動きの俊敏な敵の眼前で彼…

【SHF】完璧など存在しない(6-1)

騒ぎになっているのは大広場のようだ。 それとは反対方向に駆け出した彼女のあとに続く。 彼女曰く魔物の襲撃を受けているとのことだが、まだ魔物の姿は目撃していない。 彼が宿泊している宿屋は町の中心からは外れた場所にあるためか、はたまた魔物が大挙し…

【SHF】役割があるからこそ理解する必要がある(5)

その夜は、いつになく蒸し暑かった。 肌にまとわりつくような湿気。 ただ時折、その湿気をさらうような冷風が吹く時があった。 彼は寝苦しさに何度も寝返りを打つ。 その度に軋むベッドの音を何度聴いたかわからない。 見上げる天井には木目が不規則に線を走…

【SHF】最大効果のため信念を変えずに戦略を変える(4-2)

「は?」 彼は彼女の言葉を一度に飲み込むことが出来なかった。 ”魔導士”とは、様々な自然現象を人の手で発生させることの出来る技術を持つ者や医術や治療といった人の生命に関わる技術を持った者の総称だ。 昔から”魔法”と呼ばれてきた部類の技術を扱える者…

【SHF】最大効果のため信念を変えずに戦略を変える(4-1)

翌朝、彼女は頼みもしないのに彼のところを訪ねてきた。 突然の来客に彼は困惑したが、なぜ彼女が彼の居場所をわかったかということは後にわかることとなった。 彼が集会場の例の受付嬢に聞いたところによると、居場所から何からすべてその受付嬢が彼女に吐…

【SHF】重要なのは境界線ではなく、なぜ境界線を引いたのか(3)

「ちょっと! 待ってくださいって!」 人波をするすると縫うように進んでいく彼女の背中を追いかける。 彼女に引ったくられた申込書がどうなってしまうのかなんて彼にも分かり切っている。 この勢いであるならば「この男も頼む」などと言って、カウンターに…

【SHF】彼女は言った「この世で最も強い魔法は、貴様の行動に宿る」と (2)

木製の扉を押し開けると、集会場の中は冒険者でごった返していた。 ざっと見渡して50人以上はいるだろうか。 常日頃平穏である集会場が、異様な熱気に包まれている。 熱気と喧騒の中を果敢に進もうとするも、入り口から数十歩進んだところで目の前を巨漢に塞…

【SHF】討伐隊と、主体性の奪還 (1)

挑戦できるような気はしていた。 ただ、それが成功するかどうかはわからなかった。 自分を変えるチャンスだとは思う。 でもそのチャンスを活かせるとは思えない。 頭の中でこねくり回す。 選択肢とその選択の可能性への追求は、自身の頭では到底回答を導き出…

あいつが緊急で重要だと言ったから、あいつが、あいつが

photo credit: code poet via photo pin cc (さて、どうしたものか。) 彼は煌々と輝くランプの灯りの下で、積もりに積もった書類に囲まれて頭を抱えた。 古ぼけた集会場の建物は、降り続く大雨と叩きつけるような風のせいで、波に揺られる船のように軋んでい…

防具も大事だと村人Aが言っていただろうに

photo credit: Ran Yaniv Hartstein via photo pin cc 正直なところ、この選択は考えものであった。 しかし、華々しく初陣を飾りたいという思いもある。 彼はそれを手にするには少々自身の身の丈に合わないと感じていたが、”例のブツ”を手にしたあとのことを…

冒険者は宿屋で目を覚まし、洞窟に向かう。誰が止めるでもなく、何度も。

photo credit: fireflythegreat via photo pin cc なぜ宿屋のベッドに寝ているのだろう。 洞窟の中では、確かに戦っていた。 戦っていたことは覚えてる。 下腹部に一撃を食らったことも覚えている。 粘性のある液体が指の合間を流れ落ちたことも。 朦朧とし…